1:クラブ名
バンコク スリゥオン ロータリークラブ
2:プロジェクト名
「水と衛生」タイ農村部学校、トイレ改修プロジェクト
3:プロジェクト対象
水と衛生(特にトイレや水回りの設備衛生)
4:トイレの現状の問題点
1)不衛生なトイレによる健康問題
タイの地方の小中学校では予算や人員不足により、トイレ設備の補修が出来ておらず子供たちが不衛生なトイレの使用を強いられています。このような不衛生なトイレは一般的に言われている5K「臭い、汚い、暗い、怖い、壊れている」そのもので、子供たちがトイレに行くのを無理に我慢したり、トイレに行かなくて済むように水を飲まないなど、子どもの健康面や精神面で無視できない問題が出てきています。
2)新型コロナウイルスの感染の可能性
さらに近年新型コロナウイルスが世界的に流行し、タイでも累計感染者3156人、死者58人の被害を受けています。現在は小康状態を保っていますが、外国人の入国規制緩和に伴い第2波、3波の感染リスクがあります。この際に手洗いの習慣が無く、不衛生なトイレを使用していると子供たちへの感染リスクが高まる危険性があります。
5:改善後期待される効果
1)子供たちの健康促進
衛生的にトイレを改善することで、子供たちがトレイを使いやすくなり、トイレを我慢したりする問題を改善して健康を促進します。
2)新型コロナウイルスの感染予防
衛生的なトイレを使用して、マナーや手洗い習慣を学ぶことで新型コロナウイルスの感染予防対策となります。
3)子供達のしつけ育成
このプロジェクトは単にトイレの改善にとどまらず、改善後のトイレの清掃を子供たち自身に行わせることで、しつけを学びながら清潔なトイレの維持継続を図ります。
6:支援概算金額
今回のプロジェクトの特徴は贈呈先のご予算に合わせられることです。ご予算に合わせて学校やトイレの修理内容を調整します。基本的には約10万〜12万バーツでトイレ1練、4箇所の改善が可能となります。ご予算に合わせて調整しますのでご相談下さい。
7:事業受益者(恩恵を受ける人たち)
タイ農村部の小中学校の子供たち、教員、周辺住民
8:持続継続性(サスティナビリティ)
支援する学校には「トイレの清掃ルールとその実施方法」を共同で作製して、MOUを取り交わします。その後、現地RCが定期的に支援学校の確認を行います。
9:SDGs(持続可能な開発目標)への適合
この事業はエスディージーズ17項目の第6項「安全な水とトイレを世界中に」との国際的な基準にも適合しています。
私が所属しているバンコク・スリゥオン・ロータリークラブで日本のクラブから支援を受けてコンケンの地方の学校のトイレを改修するプロジェクトが始まりました。コンケンのクラブに依頼して対象学校を選定してもらい、地域住民も交えたヒアリングも終了したため、先日、現地視察のためにコンケンの学校に行ってきました。タイの地方の学校のトイレは5K(暗い、汚い、臭い、怖い、壊れている)が当たり前のようですが、今回のトイレも大変ひどい状況でした。
生徒達へのインタビューでも「トイレの扉に穴が開いており、誰かに覗かれるようで使いたくない」「不潔で臭いもひどいし、扉に鍵が掛からない。学校ではトイレに行くのを我慢して家でしています」など、ひどい状況が伺えました。実際に改修予定のトイレに入りましたが、築30年のトイレのため水回りがひどく、手洗い場に蛇口が1つもありませんでした。男子用の小便器も水が流れず、臭いがひどい状態でした。何よりも驚いたのはトイレの扉が半分しかついておらず、もし使ったら外から丸見えになることです。「こんなひどいトイレを本当に使っているのだろうか」と本当に驚きました。
今回のトイレの改修プロジェクトでは安全で衛生的なトイレを子供たちに提供するのはもちろんですが、新型コロナウィルス感染対策防止のために手洗い場の充実も大きなテーマになっています。学校のキャンティーンには手洗い場が増設されていたのですが、石鹸が見当たりませんでした。校長先生に「石鹸はどうしているのですか」と質問したところ「紛失するので使うときだけこれを渡しています」と日本製のハンドソープを見せてくれました。私はコンケンのロータリークラブのメンバーに「こんな高価なものを使っているはずがない。偉い人が視察に来た時のものだろう」と耳打ちすると「実は石鹸で相談があります」と言われました。
今回のプロジェクトでは感染対策のために除菌石鹸を生徒に贈呈するのですが、メンバーから「石鹸は消耗品ですからいずれ無くなってしまいます。お店で石鹸を買うと生徒や父兄の負担が大きいので、学校で手作りの石鹸で自給して貰うことを考えているのです」と言われました。「石鹸の手作り製造キット、初回分の材料を我々が用意すれば、次回以降の材料は自分たちで調達してもらい学校で石鹸を自給させることが出来ます。何より石鹸を子供たちに持たせて、家で使わせることができるようになります」との提案を貰ったのです。手作り石鹸の材料費は、店で石鹸を買うよりはるかに安く済むため、この手作り石鹸の自給を行うことに決めました。
視察後、コンケンのメンバー、学校の校長先生、地域の代表者の方と改修の要望や、改修後の管理方法に付いての打ち合わせを行いました。私は「なぜ、地域代表の方がいるのかな」と思ったのですが、学校の校庭やグラウンドを地元の人に開放しており、夜は学生以外の人が来てスポーツをしたり、曜日によっては校庭が市場となるため学生以外の地域の人がトイレを使うことがあるからです。地方の学校は地元のコミュニティーセンターの役割も果たしているのだなぁと改めて分かりました。このようにロータリークラブで活動していると普段の自分では絶対に知ることのできない、タイの一面をリアルに体感できるのでとても勉強になります。コンケンのトイレは10月に着工、12月には生徒たちが安心して使えるきれいなトイレになっているはずです。